4問でワインを決めるロジックをどう設計したか

個人開発

ポケットワイナリーでは、ワインに詳しくない人でも、いくつかの質問に答えるだけでおすすめのワインにたどり着ける体験を目指しています。

あなたにぴったりのワイン選び | Pocket Winery
たった数問で、あなたにぴったりのワインを提案🍷 プレゼントや記念日にもおすすめ

このサービスを作るうえで、最も重要だったのが「質問の設計」です。
ワインを選ぶための情報は本来かなり多く、産地、品種、味わい、価格帯、シーン、贈る相手など、考え始めるといくらでも条件を増やせます。

ただ、情報を増やせばそのぶん正確になるとは限りません。
特にワイン初心者にとっては、質問が多いだけで離脱の原因になります。
そのため、ポケットワイナリーでは「できるだけ少ない質問で、納得感のある候補を返す」ことを優先して設計しました。

なぜ4問にしたのか

最初に考えたのは、どれくらいの質問数ならユーザーが負担に感じにくいかという点です。

実際に個人開発のサービスを作っていると、作り手としてはどうしても「もっと聞きたい」と思ってしまいます。
条件を細かく取れば、そのぶん結果の精度は上げやすくなるからです。

しかし、ユーザー体験の観点で考えると、質問が増えるほど以下のような問題が出てきます。

  • 途中で面倒になって離脱する
  • 答えに迷って進まなくなる
  • サービス全体が重く感じられる

そこで、最初から「4問前後で完結する構成」を前提に考えることにしました。
4問という数は、短すぎて情報不足になりにくく、長すぎて疲れやすくもない、ちょうどバランスが取りやすいラインだと感じています。

また、スマートフォンで使うことを前提にしているため、1画面1質問のテンポ感も意識しました。
テンポよく答えられることで、難しいことを考えなくても自然に最後まで進める状態を作りたかったのです。

最初に決めたのは「何を聞くか」ではなく「何を決めたいか」

質問設計で最初にやったのは、いきなり質問文を作ることではありませんでした。
先に考えたのは、「最終的に何を絞り込みたいのか」です。

ワイン選びでサービス側が判断したいことを整理すると、大きく次のような要素がありました。

  • 予算感
  • 利用シーン
  • 相手との関係性や飲む相手
  • 味の方向性や気分

この中でも、すべてを同じ重さで扱うのではなく、まず大きく候補を分ける軸と、最後のひと押しで方向を決める軸を分けて考えました。

例えば予算は、候補を大きく分けるうえで非常に重要です。
同じ「プレゼント向け」でも、予算が違えば提案すべきワインは変わります。

一方で、「今日はどんな気分か」といった情報は、最後の雰囲気づけには役立ちますが、最初に聞くべき情報ではないと考えました。

このように、質問には順番の役割があるため、どの情報をどのタイミングで取るかを意識して並べています。

質問の順番をどう考えたか

ポケットワイナリーでは、質問の順番自体もロジックの一部として考えています。

基本的には、次のような流れが分かりやすいと判断しました。

  1. 予算の確認
  2. 誰にあげるか、誰と飲むか
  3. どんなシーンか
  4. ムードや好みの方向性

この順番にした理由は、前半で大きな条件を絞り、後半で感覚的な方向づけをするためです。

もし最初に「どんな気分ですか?」と聞かれても、ユーザーは少し抽象的に感じやすいかもしれません。
一方で、「予算はいくらくらいですか?」は答えやすく、すぐに行動に移せます。

質問の順番は、単にデータ取得の効率だけでなく、ユーザーが考えやすい順番になっているかどうかも重要でした。

実際、質問を入れ替えるだけでも、サービス全体の使いやすさはかなり変わります。
開発の途中では、質問の粒度や並び順を何度か見直しながら、テンポよく答えられる構成を探っていきました。

選定ロジックは「完全自動の最適解」より「納得感」を優先した

ワインをおすすめする仕組みを考えるとき、いかにもAI的な複雑なロジックを作ることもできます。
ただ、ポケットワイナリーでは、そこを最初から目指しすぎないようにしました。

理由はシンプルで、ユーザーが求めているのは厳密な最適解よりも、「今の自分に合っていそう」と思える納得感のある提案だからです。

特にワイン初心者の場合、「専門的に正しいか」よりも「選びやすいか」「気軽に決められるか」のほうが価値になりやすいと考えました。

そのため、選定ロジックは以下のような考え方で設計しています。

  • 質問ごとに条件を少しずつ絞る
  • 極端に候補がなくならないようにする
  • 最後に見たときに違和感のない候補を返す

つまり、「数学的に最も正しい答え」を出すことよりも、「この質問の流れならこの提案は自然」と思えることを重視しました。

データ設計では質問と結果をつなぎやすくすることを意識した

質問ロジックを安定して運用するためには、記事や画面だけでなく、データの持ち方も重要です。

ポケットワイナリーでは、各ワインに対して、質問ごとの条件を紐づけて管理しやすい形を意識しています。
これにより、質問の追加や修正、条件の見直しがしやすくなります。

個人開発では、最初から完璧な構造を目指すより、「後から調整できるか」のほうが重要になる場面が多いです。
ワイン選定ロジックも、一度作って終わりではなく、実際の使われ方を見ながら改善していく前提で設計しています。

例えば、ある質問の分岐が細かすぎると感じた場合や、逆に候補の出方が単調だと感じた場合でも、データの持ち方が整理されていれば修正しやすくなります。

この柔軟性は、個人開発ではかなり大事だと感じています。

「迷わせない」ために選択肢の見せ方も重要だった

質問の中身だけでなく、選択肢の見せ方もかなり意識しました。

ユーザーはワインの専門用語を選びたいわけではなく、自分に近い感覚を選びたいはずです。
そのため、できるだけ専門用語を避け、直感的に選べる文言に寄せています。

また、選択肢の数が多すぎると、それだけで考えるコストが増えます。
そのため、1問あたりの選択肢数も増やしすぎないことを意識しました。

「質問数を減らす」ことと同じくらい、「1問ごとの迷いを減らす」ことも重要です。
実際には、質問の設計とUIの設計は切り離せず、セットで考える必要があると感じています。

最初から完璧を目指さず、改善前提で設計した

選定ロジックは、一度作ったら終わりではありません。
むしろ、公開してからのほうが改善点が見えやすいです。

どの質問で迷いやすいか、どの結果が納得感につながりやすいかは、実際に使ってみないと分からない部分があります。

そのため、ポケットワイナリーでは、最初から複雑に作り込むよりも、まずは小さく成立する形を作り、あとから改善しやすい状態を目指しました。

個人開発では、この「作ってから育てる」考え方がとても大事だと思っています。
最初から完璧な質問設計を作ろうとすると、かえって進まなくなることが多いからです。

今後も、実際の使われ方や自分の運用経験を踏まえながら、質問の順番や条件の持ち方を少しずつ改善していきたいと考えています。

まとめ

ポケットワイナリーの「4問でワインを決める」ロジックは、単に質問数を減らしただけではなく、ユーザーの負担を減らしながら納得感のある提案にたどり着けるように設計しています。

意識したポイントをまとめると、次のようになります。

  • 質問数は少なく、でも情報不足になりすぎないこと
  • 順番に意味を持たせること
  • 複雑な最適化よりも納得感を優先すること
  • 後から改善しやすい構造にすること

ワインのように選択肢が多いジャンルでは、情報を増やすことより、迷いを減らすことのほうが価値になる場合があります。
ポケットワイナリーでは、これからもその考え方を土台にしながら、より使いやすいサービスに育てていきたいと思っています。